このサイトで紹介したアルバム100枚を年代順に並べてみました。他にも印象的なジャケットがたくさんありましたね。70年代を代表するアルバムアートワークの巨匠たちと、その作品をご紹介したいと思います。
68年にロンドンで活動を開始したデザインチーム。メンバーのストーム・ソーガソンとオーブリー・パウエルは元々ピンク・フロイドの知り合いで、「神秘」のアートワークを依頼されたことから続いて「原子心母」や「狂気」などインパクトのある作品を生み出すことになりました。
後にピーター・クリストファーソンが加わって3人体制となり、他にもレッド・ツェッペリンの「聖なる館」「プレゼンス」、T.REXの「電気の武者」、ウィッシュボーン・アッシュの「百眼の巨人アーガス」、バッド・カンパニーのファースト・アルバムなど、70年代の洋楽シーンを数々のジャケット・アートワークでより華やかなものにしました。
日本のアーティストでも松任谷由実の81年作「昨晩お会いしましょう」を手がけていますが、83年に活動を休止します。レコードを所有することに喜びがあった時代にジャケットのデザインは重要な役割を果たしていました。芸術とも呼べるような作品群を生み出したヒプノシスの功績は計り知れません。
「Band on the Run」 Paul McCartney & WINGS
ポール・マッカートニーのバンド、ウイングスの名盤。ゆったりと始まるオープニングからアコースティックギターの響きが心地よい中盤からサビの部分へと、多彩な展開を見せるタイトル曲が最高です。ライブの定番曲でもある「ジェット」も爽快。
メンバーと一緒に映画「荒野の七人」に出演したジェームズ・コバーンや「スター・ウォーズ」のクリストファー・リーらがサーチライトに照らされて焦っているというシチュエーションが洒落ています。
ロジャー・ディーンと言えばイエスのイメージが強いですね。1944年イングランド生まれのロジャー・ディーンは、70年代の初期に「こわれもの」「危機」「イエスソングス」などのジャケット・アートを担当してプログレッシブ・ロックのファンにその名が知られるようになりました。幻想的なイメージや色使いで私も大好きなアーティストのひとりです。
他にもユーライア・ヒープの「悪魔と魔法使い」「悪魔の饗宴」などがありますが、やはりLPジャケットのサイズで鑑賞したくなりますね。80年代に入ってからはエイジアのファーストアルバムで健在ぶりを見せつけてくれました。SF小説のカバーデザインにも相性が良さそうだなと思います。
イエスのスティーヴ・ハウ、キング・クリムゾンのジョン・ウェットン、エマーソン・レイク&パーマーのカール・パーマーらが結成したスーパーバンド、エイジアのデビューアルバム。大ヒットした「ヒート・オブ・ザ・モーメント」など、ポップな路線にガラリと変わりました。
82年のアルバムですが、70年代のイエスの流れを汲んだ如何にもロジャー・ディーンらしいジャケットで、幻想的で高揚感のある好きな作品のひとつです。
アンディー・ウォーホルが手がけたジャケットではヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコのバナナのジャケットがあまりにも有名ですが、ローリング・ストーンズの「スティッキー・フィンガーズ」のジャケットもなかなかセンセーショナルでした。芸術活動の一環としていろいろなことに挑戦していたのでしょうね。他にもジャズのアルバム・アートを多数手がけていたそうです。
※「バナナ」は1967年、ジョン・レノン「メンローヴ・アヴェニュー」は1986年の作品です。
ジャケット写真というよりも、ポートレイトという言葉が似合うように思います。写真家らしく被写体と良い関係を築いて内面を映し出す、そんな感じの作品が多いですね。
リッキー・リー・ジョーンズの「浪漫」やジョニ・ミッチエルの「逃避行」を見ていると、彼女たちは写真そのままの人なんじゃないかという気がしてきます。キッスの「地獄の叫び」はノリノリの撮影風景が目に浮かぶようですね。他には若き日のスティーブ・ジョブズの写真もよく知られています。
「RICKIE LEE JONES」 Rickie Lee Jones
「浪漫」という邦題でリリースされたリッキー・リー・ジョーンズのデビューアルバム。マイケル・マクドナルドやスティーヴ・ガッド、ジェフ・ポーカロなど多くの有名ミュージシャンがバックを務め、オープニングナンバーの「Chuck E.'s in Love(恋するチャック)」がヒットしました。
帽子をかぶってタバコを咥えた彼女が、なんとも素敵な大人の女性に見えてしまいます。ノーマン・シーフが手掛けたジャケット写真の中でも有名な作品のひとつです。
この人はコロンビア・レコードのアート・ディレクターとして5,000枚以上ものアルバムのアートワークにかかわったのだそうです。ロックの分野だけでもブルース・スプリングスティーンの「明日なき暴走」やジェフ・ベックの「ギター殺人者の凱旋」、エアロスミスの「ドロー・ザ・ライン」など、馴染みのあるアルバムが何枚も出てきます。数多くの作品で功績を残したジョン・バーグは、コロンビアの副社長まで務めたそうです。
「Bridge Over Troubled Water」 Simon and Garfunkel
アメリカが生んだ最高のデュオ、サイモンとガーファンクルの「明日に架ける橋」は彼ら最後のアルバムとなりました。「ボクサー」や「コンドルは飛んで行く」、ロックな「ベイビー・ドライバー」など名曲満載で、グラミー賞を受賞した傑作です。
彼らの曲をあまり聞いたことのない人でも、この写真はどこかで見たことがあるかもしれません。S&Gが好きな人にとっては、一瞬で青春時代が蘇るような郷愁を誘うジャケットです。
この人がかかわったアルバムは名盤揃いです。アップル・レコードのクリエイティブ・ディレクターとしてビートルズの「アビイ・ロード」「レット・イット・ビー」で有名になり、70年代に入ってからはイーグルス、ザ・フー、キング・クリムゾン、ロッド・スチュアート、リンダ・ロンシュタットなど数多くの有名ミュージシャンのアルバムアートを担当しました。
小粋でお洒落で、イギリス出身のバンドに似合うジャケットだなと思います。下の作品群を見ても分かるように、ミュージシャンの個性をよく捉えたジョン・コッシュの作品のひとつです。
バッドフィンガーは「No Matter What(嵐の恋)」や、ニルソンがカバーした「Without You」などのヒットで知られるバンドです。74年に発表されたこのアルバムは、ちょっと哀愁の漂うポップなオープニングナンバー「I Miss You(涙の旅路)」など佳曲ぞろいの名盤です。
70年代のレコードは、ジャケットを見ただけで曲名やメロディーが頭に浮かんでくるような作品が数多くありました。音楽とアルバムアートの蜜月時代が偲ばれます。ジャケットを壁に飾り、レコードをターンテーブルにのせて音楽を楽しむ、そんな良い時代がありましたね。中身を聴かずに気に入った外見で選ぶ「ジャケ買い」も懐かしい言葉です。
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