いい音楽をいい音で。 音楽ファンなら誰もがそう思うはずですが、ロックに夢中だった70年代はレコードとラジオ、そしてカセットテープの時代だったし、まだ学生で自由になるお金もほとんどなかったので、高音質のオーディオを楽しむ余裕など当然ありません。 それでもリアルタイムに接する音楽には音質など二の次でワクワクしたものです。
時は流れてカセットテープは完全に姿を消してレコードはCDに変わり、ラジオは新しい音楽に触れる貴重な媒体ではなくなってしまいました。 最もポピュラーな音源となったCDも昔は音質が悪くてモコモコした音だったものがありましたが、リマスターで驚くほどいい音になったアルバムもたくさんあります。
さらに新規格のBlu-spec CDやSA-CD(Super Audio CD)が登場して、価格に難はあるものの音質面では昔に比べると格段に向上しました。 このコーナーではメインの企画ベスト100枚に選びきれなかったアルバムを中心に、高音質のCDを紹介したいと思います。
「Blow by Blow」JEFF BECK
天才ジェフ・ベックがインストゥルメンタル・ロックで新境地を開拓。プロデューサーは、ビートルズで知られるジョージ・マーティンです。「哀しみの恋人達」はギタリスト必聴の名曲。
「Pearl」JANIS JOPLIN
大ヒットナンバー「ジャニスの祈り(Move Over)」収録。若くして亡くなったジャニス・ジョプリンの遺作となった作品です。絞り出すようなボーカルが印象的な人でした。
「Certified Live」DAVE MASON
デイヴ・メイスンがライヴで本領を発揮した知る人ぞ知る名盤『ライヴ~情念』。オリジナル曲からカバーまで、バックとの相性もバッチリ。渋いボーカルとギターが楽しめます。
「Abraxas」SANTANA
邦題の『天の守護神』のほうが馴染みがありますね。官能的な「ブラック・マジック・ウーマン」は、サンタナの代表曲のひとつとなりました。唯一無二のサンタナの世界を堪能できる名盤です。
「Beck Bogert & Appice LIVE」B.B.A
ジェフ・ベックがティム・ボガートとカーマイン・アピスの強力なリズム隊とバンドを組んで、日本で伝説となったライブを披露しました。荒々しい、ジェフ・ベック最後のハードロックですね。
「宇宙の騎士」TOTO
数々の有名ミュージシャンのバックを務め、スタジオ・ミュージシャンとして腕を磨いたメンバーが満を持してアルバム・デビューを飾りました。「ホールド・ザ・ライン」のカッコ良さは格別です。
「Hydra」TOTO
TOTOのセカンド・アルバムは、キーボードをフィーチャーした重厚な内容となりました。ヒットした「99」では、ギターのスティーヴ・ルカサーがボーカルを取っています。
「Boston」BOSTON
邦題は『幻想飛行』。アルバムの内容やジャケットのイメージともピッタリのタイトルです。コンピュータを使用していないとは思えない、トム・ショルツが創り上げたサウンドは新鮮でした。
「Don't Look Back」BOSTON
『幻想飛行』に続いてボストンがリリースした、待望のセカンド・アルバム。より練り上げられた緻密なサウンドで、ファンを虜にしました。シングルカットされたタイトル曲「ドント・ルック・バック」もヒット。
「Silk Degrees」BOZ SCAGGS
ボズ・スキャッグスがAORの旗手と呼ばれるようになったのは、このアルバムから。後にTOTOを結成することになる腕利きメンバーらのサポートもあり大ヒットを記録しました。「ハーバー・ライト」「ロウダウン」等収録。
「Nantucket Sleighride」MOUNTAIN
巨漢ギタリスト、レスリー・ウェストとベースのフェリックス・パパラルディが組んだマウンテンの傑作アルバム。ヘヴィーなアメリカン・ロックがイギリスでも受け入れられました。
通称"オレンジ"。 バンド名をそのままアルバムタイトルにした自信作。スティーヴ・クロッパーのプロデュースによる黒っぽい雰囲気が漂うアルバムで、「ハイウェイズ」が気に入ってます。
JEFF BECK with THE JAN HAMMER GROUP LIVE
邦題は「ライブ・ワイアー」。 ヤン・ハマー・グループとのライブは、もはやロックの枠に収まりきれなくなってきました。インストメンタル・ロックシリーズの集大成ライブですね。
「Toys in the Attic」AEROSMITH
どちらもスタンダード・ナンバーになったヒット曲「ウォーク・ジス・ウェイ」「スイート・エモーション」を収録した、エアロスミス初のプラチナ・アルバムです。
「Draw the Line」AEROSMITH
癖のあるリフとジョー・ペリーのスライドギターが印象的なタイトルナンバーがヒットしましたが、バンドは崩壊の危機に。ここからまた復活を遂げるとは思ってもみませんでした。
「Leftoverture」KANSAS
美しいコーラスとドラマチックなメロディーライン、アメリカン・ハード・プログレッシブ・ロック・バンド、カンサスの名盤。ジャケットに物語がありそうでいいですね。
「Desire」BOB DYLAN
黒人ボクサーの冤罪事件を歌った「ハリケーン」が熱い、ロックなボブ・ディランがカッコいいです。有名なローリング・サンダー・レビュー・ツアーの最中にリリースされました。
「All 'n' All」EARTH WIND & FIRE
長岡秀星のジャケットと「太陽神」のタイトルでおなじみ、アース・ウィンド&ファイアーの大ヒットアルバム。誰もが知る「宇宙のファンタジー」収録。グループ絶頂期の名盤です。
「at Budokan」CHEAP TRICK
"Budokan"の名を海外に広めたチープ・トリックのライブ。以後武道館でライブをやる事がミュージシャン達のステータスに。当初は日本のみで発売の予定だったそうです。
「You're Only Lonely」J.D.SOUTHER
タイトル曲を聴くとあの頃が蘇ります。 優れたソングライターJ.D.サウザーの優しい声がシンプルな曲に映えますね。イーグルスと縁の深い人で、名盤『ならず者』のジャケットにも彼の写真が。
「Every Good Boy Deserves Favor」THE MOODY BLUES
バックのブルーが鮮烈なジャケットと、「童夢」という邦題が印象に残ります。 幻想的かつメリハリの効いた内容で、ムーディー・ブルースの最高傑作となりました。
「Chicago V」CHICAGO
硬派なブラスロック・バンドだったシカゴが、ポップな「サタデイ・イン・ザ・パーク」をヒットさせました。アルバムも初の全米No.1を獲得。
「Love You Live」THE ROLLING STONES
ストーンズのライブがSACDでは1枚で一気に通して楽しめるのがいいですね。 ラストはやっぱり「悪魔を憐れむ歌」。ジャケットのデザインを手掛けたのは、アンディ・ウォーホルです。
「Queen II」QUEEN
クイーンと言えばこのジャケット写真です。レコード時代のB面、サイド・ブラックのトリを飾る「輝ける七つの海」の高揚感溢れるかっこ良さ。
「A Night at the Opera」QUEEN
壮大かつ緻密に創り上げられた名曲「ボヘミアン・ラプソディ」で唯一無二の世界を繰り広げたクイーン。名盤『オペラ座の夜』は彼らの代表作となりました。「マイ・ベスト・フレンド」もいい曲です。
「News of the World」QUEEN
ロック好きの血が騒ぐ「ウィー・ウィル・ロック・ユー」、スポーツの祭典に欠かせない曲となった「伝説のチャンピオン」収録。邦題は『世界に捧ぐ』です。
「Quadrophenia」THE WHO
「トミー」「フーズ・ネクスト」に続くザ・フー絶頂期のコンセプト・アルバム。邦題の「四重人格」も印象的でした。イギリス映画『さらば青春の光』の原作としても知られています。
「The Dark Side of the Moon」PINK FROYD
ピンク・フロイドの代表作にして世紀の傑作「狂気」もSACD化。 作品の完成度からすれば当然の流れだと思います。ジャケットの色がブルーだと、また違う印象ですね。
「Piano Man」BILLY JOEL
タイトル曲「ピアノ・マン」はビリー・ジョエルの原点とも言える曲ですね。何度聴いても素晴らしい名曲です。酒場で弾き語りをするビリーが目に浮かぶような。
「Turnstiles」BILLY JOEL
しんみりとする名曲「ニューヨークの想い」収録の76年作品。白いシャツの袖をまくったスタイルのビリー・ジョエルがいいなと思います。「ストレンジャー」の大ブレイクまであと一歩のところまで来ました。
「Double Vision」FOREIGNER
英米混成のスーパーバンドとして話題になったフォリナーのセカンド・アルバム。1曲目の「ホット・ブラッディド」から快調に飛ばします。
「The Captain & Me」THE DOOBIE BROTHRS
「ロング・トレイン・ランニン」と「チャイナ・グローブ」の2大名曲が続けて登場する、ドゥービー・ブラザーズの大ヒット・アルバム。トム・ジョンストンのボーカルも絶好調。
「Minute by Minute」THE DOOBIE BROTHERS
マイケル・マクドナルドが加入してガラリとバンドの雰囲気が変わりました。洗練された雰囲気の「ホワット・ア・フール・ビリーヴス」がヒットして、アルバムはグラミー賞を受賞。
「Something/Anything?」TODD RUNDGREN
マルチプレイヤー、トッド・ラングレンが作詞・作曲からボーカル・楽器演奏まですべてひとりでこなしたアルバム。トップを飾る「アイ・ソー・ザ・ライト」がヒットしました。
「Breakfast in America」SUPERTRAMP
ジャケットで自由の女神のポーズを取って微笑むおばちゃんは明るいイメージですが、ヒットしたタイトル曲は切ない雰囲気の名曲でした。「ロジカル・ソング」もいい曲です。
「Every Picture Tells a Story」ROD STEWART
ロッド・スチュワートの代表曲となった「マギー・メイ」収録。ヘアスタイルやボーカルスタイルがよく分かるジャケットですね。イギリス・アメリカともにヒットチャート1位を獲得しました。
「Aja」STEELY DAN
ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーの音楽ユニット、スティーリー・ダンの代表作。一流スタジオ・ミュージシャンが集結して大ヒットを記録。ジャケットの女性は日本人モデルの山口小夜子です。
「Imagine」JOHN LENNON
タイトル・ナンバーの「イマジン」は世界中で愛される曲になり、ソロ活動を始めたジョン・レノンの代名詞にもなりました。ビートルズでデビューした頃のジョンからは想像も付かない静かな曲です。
「Rainbow Rising」RAINBOW
リッチー・ブラックモア率いるレインボーのセカンド・アルバム。ドラムにコージー・パウエル、ボーカルにロニー・ジェイムズ・ディオという強力メンバーで、邦題の『虹を翔ける覇者』もぴったりハマっていました。
「Fire and Water」FREE
ボーカルのポール・ロジャースやギターのポール・コゾフなど、アルバム発表当時のメンバーはみな20歳前後という若さ。それでも実力は折り紙付きで、タイトルナンバーや「オール・ライト・ナウ」がヒットしました。
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